みなさんこんにちは。
明石のパーソナルトレーニングジムTremの大元です。
コンテストに出場したことがある選手なら一度は経験したことがあるのが水抜き、塩抜きではないでしょうか。
ボディビル以外でも、体重別の競技に取り組むスポーツ選手であれば体重を調整するために水抜きをしている選手もたくさんいるはずです。ボクシングなどは計量日までに水分量で体重をコントロールし、試合の当日までにその分を戻すというようなことをします。
一方でボディビルダーが水抜きをする理由はボクサーとは異なり、「キレ」を出すために行われることが多いです。利尿剤等を使用するのでなければドーピング行為にはならないため、水抜きをする選択も決して間違いではありません。
しかし、極端な水抜きや塩抜きを行うと、これまで数ヶ月間かけて作り上げたコンディションを試合の直前で崩すリスクが高くなることも事実です。
水抜き・塩抜きの仕組みを理解して自分には本当に必要なのか?実施する場合はどの程度すればいいのか?を考えていただければと思います。
期間
ほぼ確実に言えることは、長期間の水抜きや塩抜きは行わないことです。
ある意味、水抜きをすることは、体重がなかなか落ちないことから生まれる不安を一時的に解消してくれます。
確かに最初は水分の量だけ体重が落ちますが、水分は身体の機能を正常に保つために必要なものなので、長期間続けるとやがて水が抜けなくなってきます。
それだけでなく、体内での生理学的反応がスムーズにできなくなり、運動パフォーマンスの低下を起こしてしまいます。
仕組み
筋肉を構成する細胞の外側にはナトリウムイオンが、内側にはカリウムイオンが存在していて、浸透圧を保つと同時に筋肉が正常に動くシステムを作っています。
水抜きを行うことで、細胞の内外から水、ナトリウム、カリウムが失われ、神経や筋肉の興奮に支障をきたしてしまいます。
これがいわゆる脱水です。
そこで、水抜きにプラスして塩抜きをしようという発想が生まれます。
塩抜きとは、ナトリウムの制限のことで、ナトリウムが少なくなると浸透圧を保つために、細胞の内側からは水が、外側からは水とナトリウムが体外へと排出されていきます。
これで極端な水分制限をしなくても自然と水が抜けていくシステムがつくられるというわけです。
食塩1グラムで約150ccの水が排出されるとされているので、体内の食塩を10グラム減らせば1.5㎏の水分が抜けていく計算になります。
この場合でも水分制限の時と同じように神経や筋肉の興奮が低下する恐れがあります。
細胞内から過剰に水が抜けてしまうと、パリッとした質感を作り出すことはできても筋肉のハリ感、いわゆるパンプ感を出すことができなくなるため迫力はどうしても薄れてしまいます。
ボディビルのような審美性を求める競技は、いかにその瞬間よく見えるか、よく魅せれるかが鍵となります。
こうした理由から、水抜きや塩抜きはコンディションを崩すリスクが高くなるため、絶対に取り入れるべきテクニックとは言えません。
最終調整の枝葉であることを十分に理解して、採用するか否か、またはどの程度行うかを決める必要があります。
試合前にぶっつけ本番で試すと9割は失敗すると思うので、まずは計画的な減量で体脂肪を落とすこと、その中で自身の身体のデータをとって特性を知ることをするべきです。
コンテスト1カ月程前に、8割〜9割の仕上がりができていれば一度試してみることをオススメします。
実際
ちなみに私は、水抜き塩抜きというほどではありませんが、コンテスト前に少しだけ水分と塩分の調整をします。
もともと皮膚が水っぽく厚い肌質で、小さい頃から注射をするときは血管が見つからず、いつも2回以上やりなおしされていたほどです😅
今回の減量においてもコンテスト20日前、inbodyの計測で体脂肪率5%で下の写真のようなクオリティです。筋肉量が少ないということもありますが、これでは到底戦えないので水分と塩分の調整をコンディションを崩さないように取り入れる計画を立てました。
大会1週間前にいきなり余計なことをしてパフォーマンスを落とすことをしないように、2週間前に一度実験を行うことにしました。
このときも体脂肪率は4−5%程度で、食事も徐々に減らしていっていた状況なのでいまよりコンディションを崩すことはない、万が一少々崩れたとしても取り戻せるという判断のうえ実施することにしました。
といっても、毎日の食事の内容は決まっていて、その時に使う調味料もずっと一緒だったので、その調味料を半分程度に減らす、水分も2リットルから1リットルに減らす程度のことです。あとは当日と同じように厚着をして過ごし、本番と同じようにトレーニングはオフにする代わりにパンプアップの練習をチューブを使って行うようにしました。
まさに本番に備えた練習試合という感じです。
その結果以下の写真のようになりました。
自分でも気持ち悪いと思うほど水分が抜けて血管が浮きでました。
コンディション的にも、筋肉の張りは良く、頭痛などの体調不良もなく、パンプアップの練習やポージング練習を行なっても攣ったりしないことから実験は成功に終わりました。
2週間前にこのような実験ができたので、コンテスト直前の最終調整でも水分塩分調整は採用することにしました。
こうして事前に実験ができたので、精神的にも余裕をもってコンテスト当日を迎えることができました。
絞りが間に合わず、最後に魔法にかかりたいと水分塩分の調整をする選手がいますが、それでは今まで長い間の時間をかけて作ったカラダをダメにしてしまいます。
本当に必要なのか、実際にやってみると身体はどう反応するかを試して冷静に判断
することが大切です。